研究開発

日水コンは、⽇本初の⽔質に関する研究機関を有するコンサルタントとして、⾼度経済成⻑時代の水質汚染対策に対し、各種指針の策定⽀援や微⽣物⽔質浄化等の研究を先駆的に⾏ってきました。日水コンが、科学技術の発展と自社の事業拡⼤のために毎年投入する研究開発費は、売上⾼の約1%を占めています。

⽇⽔コンの研究開発を管理しているのは、中央研究所です。中央研究所は、会社が創⽴された1959年に上下⽔道事業に係る⽔質業務専⾨の「研究部」として組織され、その後1972年に「中央研究所」として発⾜しました。現在は、環境保全の観点から順次追加される国の有害物質排水規制の強化等に関する研究や、水環境分野の技術をベースにした下水汚泥のバイオマス発電や農業へのリサイクル等、SDGsや地域振興の分野にまで研究開発の範囲を広げています。

水環境技術の総合力で技術をイノベートする組織

当社は、水に関する総合コンサルタントとして、上下水道、河川など複数分野のコア技術を有していますが、中央研究所は、これらのコア技術を有機的に繋ぎ合わせ、総合力からイノベーションを生み出す組織です。そのために、中央研究所では以下の4つの機能を有します。
「基礎研究」:長期的な視点から有効と思われる技術テーマについての理論的・実験的研究
「技術開発」:顧客・社会の問題解決に資する新しい製品・技術サービスの開発
「人材開発」:人工知能(AI)に代表される様々な新しい技術の社内教育と技術展開
「フューチャーセンター(知の拠点)」:行政・大学・NPO・住民等との連携により、互いの知を刺激しあい、新しい発想・イノベーションを生むための情報交換の場の提供

数値解析と水処理実験の融合

コンピューター技術の爆発的な進歩により、これまでは実験が必要であった多くの現象を数値解析で再現できるようになっています。しかし、数値解析モデルの適用に当たっては、モデルの妥当性を検証し、精度を高めることが必要となります。その検証方法及びモデルの調整方法がコンサルタントの重要なノウハウです。中央研究所ではアクア21に種々の実験施設を設置し、実務で必要な地域に応じたシミュレーションの条件等の基礎数値を確認するための実験を行っています。こうして数値解析モデルの精度を高めることにより、数値解析と実験解析との融合が可能です。

水・土壌環境及び上下水道に係わる測定と評価

アクア21では環境モニタリング機関として、水・土壌環境及び上下水道に係わる測定と評価をグループ企業の株式会社イオと連携して行っています。

  • 上下水道施設に係わる水処理調査
  • 環境測定分析
  • 水道GLP認定取得支援業務
  • 新規項目分析方法の検討

水質検査登録機関(厚生労働省)

  • 株式会社イオ(登録番号 第253号 2013年6月11日登録)

環境計量証明事業(東京都)

  • 株式会社イオ(登録番号 第1366号 2013年2月18日登録)
主要な研究成果

研究要旨

研究開発の中から最近の主要な成果を以下に示します。

具体的な成果の紹介

これまでの研究開発の成果の一部を紹介します。

(1)避難計画策定のための避難解析手法の開発

大雨による河川氾濫や地震時の津波による浸水等に対する合理的な避難計画を策定するために、浸水害等における人の避難行動をシミュレーションするソフトを開発しました。

避難シミュレーション動画

(2)混和池形状と薬品注入点の標準化に関する研究

浄水処理において凝集剤を効率的に撹拌するための混和池形状や薬品注入点について研究しました。数値流体解析(CFD;Computational Fluid Dynamics)により混和池内の流れを解析するとともに、トレーサー実験も行いCFD解析の妥当性を検証しました。

槽内の速度コンター(X-Y断面)動画

(3)道路地表下一体管理モデル実現化に関する研究

近年、道路に埋設されている上下水道管路の老朽化等を原因とした道路陥没が問題になってきています。そこで、上下水道管路の状況や道路調査結果等のデータをもとに、道路陥没危険度を判定するシステムを開発しました。

(4)河川改修・維持管理における樹木・植生管理モデルの研究・開発

河川の流下能力を確保するためには、河道掘削や河道内の樹木伐採が重要ですが、掘削や伐採後の再堆積や再樹林化の予測が必要です。そこで、河床変動モデルと植生モデルを組み合わせた実用的なモデルを開発しました。

(5)水循環モデルによる水資源管理手法の研究

海外では人口増加に伴い、水需給がひっ迫している地域が多くあり、適切な水資源の管理が重要です。そこで、インドネシアのジャカルタ首都圏を対象に水循環モデルを作成し地域の総合的な水資源管理手法について研究しました。

(6)上下水道施設における騒音解析技術の開発

ポンプ電動機や自家発電設備、換気設備等から騒音が発生します。それらの騒音が、敷地境界で騒音規制値以下に収まることを設計段階で確認するためのシミュレーションソフトを開発しました。

(7)タブレット端末を活用した効率的なデータ蓄積ツールの開発

浄水場や下水処理場には多くの設備があり、その点検には多くの時間を要します。そこで、タブレット端末で効率的に点検を行えるシステムを開発しました。

(8)デジタルカメラによる写真測量システムの開発

市販のデジタルカメラを用いてドローンによる動画や、人が自由に撮影した複数の写真から対象物の3次元座標値を簡単に作成するシステムを開発しました。

(9)構造物と流体の連成を考慮した連動解析手法の研究

受水槽など液体を含む構造物は、地震時にスロッシング(水の揺動)やバルジング(側板と液体の連成振動)が発生します。この複雑な挙動を解析ソフトでシミュレーションするために、水を入れた水槽を実際に振動させて水による圧力や各部の変異量等を測定し、連動解析法について研究しました。

(10)水環境リスク(放射性Cs)の評価

国立研究開発法人 産業技術総合研究所からの委託業務を通して、東日本大震災で環境中に放出された放射性セシウムについて、除染による効果を長期間のシミュレーションにより評価しました。

参考文献
石川 百合子・川口 智哉・保高 徹生・坂本 靖英・東野 晴行:水田を考慮した放射性セシウムの移行シミュレーション,第50回日本水環境学会年会,徳島,2016/03/16