情報システム基本計画のご提案

データベースの重要性

効率的なアセットマネジメントの実践・発展に向けて

限られた予算条件の下で効率的・効果的な社会資本の運用・管理を行う「アセットマネジメント」が脚光を浴びています。

上下水道分野における取組としては、厚生労働省が平成21年度に「水道事業におけるアセットマネジメント(資産管理)に関する手引き」を公表し水道事業体における実践を促しています。下水道については、国土交通省が「下水道事業におけるストックマネジメント検討委員会」等における取組みの成果を受けて、平成20年度に「下水道長寿命化支援制度」を創設しました。

水道事業におけるアセットマネジメントの構成要素と実践サイクル

水道事業におけるアセットマネジメントの構成要素と実践サイクル

このうち厚生労働省の手引きでは、アセットマネジメントの構成要素と実践サイクルを上図のとおりとしています。図が示すとおり、必要となる情報の収集・整理(データベース化)はアセットマネジメントの実践の中で最も基本となる要素です。

上下水道施設を構成する資産は膨大であり、アセットマネジメントを効率的に行う、あるいはそのレベルを向上させるためには、目的に見合った適切なデータベースを構築することが必要となります。

基本計画策定のメリット

それぞれの事業体では、施設の減価償却や維持管理業務に必要な情報を紙の台帳や電子データなど、様々な形で管理していますので、これら情報を、アセットマネジメント・ストックマネジメントの観点から見直して、データベース化することになります。

しかしながら、データの管理単位や管理方法は個々の事業体によって千差万別ですし、マネジメントに対する考え方や目標とするレベルも事業体によって異なります。

このため、先行する事業体と同じデータベースを導入しても、マネジメントを効率的に行えるとは限りません。

データベースの構築は単に施設情報を電子化するだけではなく、これまでの業務(資産管理の方法)を見直すことにもなります。また、データベースを構築した後のデータの更新やシステム保守、情報セキュリティについても検討する必要があります。

このような特徴を有するデータベースについては、導入する前に、個々の事業体のデータ管理状況や今後のアセットマネジメントの方針を踏まえて、システム化の範囲や段階的な導入、業務への影響等について十分検討をすること、すなわち情報システム基本計画を策定することが必要です。

基本計画の策定により、設計の考え方やシステム導入効果、システム運用方法などを明確にすることができますので、情報化投資に対する需要者、市民等への説明責任を果たすことが可能となります。

以下ではアセットマネジメントを考慮した情報システム基本計画について提案いたします。

情報システム基本計画の内容(例)

情報システム基本計画の作成手順(例)

情報システム基本計画の作成手順(例)

現況把握

施設の計画、設計、維持管理、更新等に関する業務についてその内容、問題点について把握します。また業務で利用するデータについて、既存の各種システム(管路情報システム、固定資産管理システム等)及び紙図面等の資料で管理しているデータ項目、管理単位、数量等を把握します。

関連システム、上位計画調査

上下水道以外の部署とのデータ連携の必要性について調査します。また市町村全体のシステム計画、ネットワークの接続条件などについて把握します。

システム基本方針の検討

アセットマネジメントのあるべき姿からシステム化の対象業務(業務支援内容)、データ一元化(電子化)、既存システムの有効活用等についての方針を定めます。

システム仕様作成

システム機能仕様、データベース仕様(管理項目と管理単位)、データ入力仕様、機器構成等について作成します。

システム運用計画の検討

システム導入後の運用体制について検討します。

システム整備計画の作成

段階的な整備計画(年次別の事業費、維持管理費)を作成します。

なお、基本計画の策定はアセットマネジメントの導入に合わせて行うことも可能ですし、アセットマネジメントを実践する中でデータベースの構築をレベルアップのための改善方策として位置づけ、別途業務として行うことも可能です。

業務実績

お客様 業務名称 年度
仙台市 配水管理システム基本計画調査 H3
豊中市 水道情報システム基本計画調査 H9
東大阪市 水道管路情報システム基本設計 H11
帯広市 上水道施設維持管理計画策定業務 H12
岐阜県東部広域水道事務所 水道事業情報管理システム構築調査 H13
倉敷市 水道施設管理システム化計画 H14
神奈川県企業庁 管路情報システム基本計画業務 H18
安城市 水道情報システム基本計画策定業務 H18
名古屋市 施設総合管理システム調査業務 H20
西尾幡豆広域連合 上下水道管理システム実施設計書作成業務 H20
尼崎市 水道施設情報管理システム構築検討会支援業務委託 H21

上記のほか、システム構築の一部として基本計画を策定した事例があります。