【調査・計画・設計】パキスタン国ファイサラバード上下水道・排水マスタープランプロジェクト

1.プロジェクトの背景

ファイサラバード市は、パキスタン国内で第3の都市であり、2016年の人口は推定で約300万人でした。しかし、ファイサラバード市では急激な人口の伸びや都市化に対して、必要な水供給量を提供することが困難な状況が続いており、水源の確保と水道施設の整備が急務となっていました。

一方、下水道は、下水道整備地域でも土砂・ゴミ・食物残渣の汚水管への投棄が著しく、汚水管も目詰まり等、維持管理上の問題があります。下水道未整備地域では、雨水排水路に一般家庭等からの汚水や工場排水が流れ込み、不衛生な状態が慢性化していました。

本プロジェクトは、上下水道・排水環境(生活環境)が改善されることに寄与することを目的に、既存マスタープランの更新として、新しい「上下水道・排水マスタープラン策定」を行い、並行して、策定されたマスタープランが実用的なものとなるため、「パイロット活動」による試行や実証も併せて実施しています。

2.プロジェクトの概要

本プロジェクトは、マスタープラン策定とパイロット活動に大別されています。

上下水道・排水マスタープラン策定

既存のマスタープラン(1993)を更新し、2038年を目標年次として新たに上下水道・排水マスタープランを策定します。

パイロット活動

マスタープランでは、現在のファイサラバード上下水道公社による脆弱な運営から、より健全な上下水道事業への転換を図るための提言を盛り込んでいますが、それを実証し、良いモデルとなるパイロット活動を併せて行います。

1904年に建設された既設ジャル・カヌアナ浄水場
(緩速ろ過方式)

汚水・生活雑排水が流れ込み
維持管理の問題でごみや土砂が堆積した雨水排水路