【調査・計画・設計】パナマ国パナマ首都圏下水道事業運営改善プロジェクト

1.プロジェクトの背景

パナマ共和国(以下、パナマ)のパナマ首都圏(パナマ市及びサン・ミゲリート市。面積2,081km2)には、人口の35%以上(約140万人、2013年)が集中するものの、下水道施設は不十分な整備により劣化が著しく、下水が未処理で市街地の河川及びパナマ湾に放流されていました。そのため市内の悪臭等がひどく、衛生環境の観点からパナマ首都圏における下水道及び下水処理施設の整備は喫緊の課題となっていました。独立行政法人国際協力機構(JICA)は円借款「パナマ湾及びパナマ市浄化事業」を供与し、同国初の本格的な下水処理場(ファン・ディアス下水処理場)の建設を支援しましたが、下水関連施設の運営・維持管理にかかるノウハウが課題となっていました。

このような背景の下、2014年3月、パナマ政府は本邦技術を活用した①パナマ首都圏の工場排水もしくは病院排水に関するパイロットプロジェクトを通じた工場排水のモニタリングシステムの開発、②保健省が下水道事業の投資計画を立案し、維持管理予算を確保するための、効果的な維持管理・資産管理システムの開発に関する技術協力プロジェクトが実施されることとなりました。

2.プロジェクトの概要

「パナマ湾浄化事業」で整備された施設に対する、保健省の事業実施ユニット(UCP)の管理・監督及び維持管理能力の向上を目的にプロジェクトが実施されました。期待された成果は下記の通りです。

  • パナマ湾浄化に関する、各機関の役割が定義され、実施体制構築のための手順が提案される
  • ファンディアス下水処理場に流入する汚水排出源に対し、定期的な水質モニタリング事業が開始される
  • 下水処理場、下水管渠等の下水道施設に対するUCPの管理能力が向上する
  • 適切な下水道の使用に関するUCPの住民啓発能力が強化される

処理場の全景

MatiasHernndez川の下水道整備
インターセプターの整備前

MatiasHernndez川の下水道整備
インターセプターの整備後