廃棄物系バイオマス利活用計画

1.背景・目的

平成22年12月に策定、公表された『バイオマス活用推進基本計画』では、廃棄物系バイオマスの積極的な活用の推進を図ることとされています。バイオマスは、カーボンニュートラルであるという特性から地球温暖化防止に向けて有用であり、近年ではエネルギー供給の多様化に向けて再生可能エネルギーとしての特性が注目されてきているところです。

平成24年7月に施行された再生可能エネルギー特別措置法による固定価格買取制度においては、バイオマスのガス化発電による買取価格が39円/kWhと設定されたため(従来のRPS法に対して5倍程度)、今後バイオマスのメタン化が極めて有効な方式として注目されています。

2.業務構成と検討手順等

2-1.調査検討フロー

バイオマス利活用事業は国の補助制度も導入されているものの、事業として継続されている事例は少ないのが実情です。 事業の成否を決定する要因は以下の4点です。

  • 廃棄物系バイオマスの収集(分別の有無、異物の混入防止、選別機の利用等)
  • 排水、残渣を安定・安全・低コストで処理
  • 資源化物が安定した需要を持つ
  • 資源化事業としての継続性の確保

生ごみの収集には、住民の協力により分別排出してもらい、それを分別収集する場合と、可燃ごみとして排出されたものを機械選別する場合があります。分別の方法によって処理方式や残渣の発生量が異なるため、地域の実情に応じて、分別手法と処理方式を決める必要があります。また、メタン発酵後の発酵残渣の扱いについても、極力資源化(堆肥、固形燃料等)して利用することでコストの低減を図る必要がありますが、そのために資源化物の需要の調査が重要です。さらに、廃棄物処理の一環として資源化事業が継続的に維持できるかという事業の経済性の分析なども検討の重要な要素です。

業務構成(検討手順等)

2-2.費用対効果

廃棄物系バイオマスのうち、生ごみや紙ごみはメタン化の原料として利用が可能であり、 発生するバイオガスにより得られた電力は、FIT法によって高額で買い取られます。 また、生ごみ等の水分を多く含むバイオマスを可燃ごみから取り除くことで、 焼却施設での発電効率も向上することとなり、メタン化での発電と焼却での発電をあわせることで、より高い効率での発電が可能になります。

現状の売電価格で生ごみをバイオガス化(湿式メタン発酵を想定)するとした場合の費用効果を試算した結果を下図に示します。この試算結果では、費用(維持管理費を含む総事業費)と便益(ごみ処理費用を15千円/t、売電価格を39円/kWhと設定)の算定結果から、生ごみ量が20t/日以上で効果がある(事業は黒字化)としています。

生ごみのバイオガス化における事業費と便益

FIT法に基づく再生可能エネルギーによる電力の固定買取価格については、今後見直されるとされていますが、価格が変動した場合の効果の分析も重要です。試算によれば、25円/kWhの場合には生ごみ処理量が30t/日で経済性が確保されると算定されています。

メタン化の対象バイオマスについては、生ごみを下水道事業の消化槽に投入して消化ガスを増加させ、発電量を増大させる方法や、畜産排せつ物などとの共同処理等、他の廃棄物系バイオマスを組み合わせて生成エネルギーの増大とコスト低減を図る方法があり、地域における特徴を生かした計画を立案することが必要です。

3.業務実績

日水コンでは、バイオマス利活用の各種調査、計画業務の実績に加えて、バイオマスを資源化する技術の実証実験などの研究開発を行ってきました。これらのノウハウを活用して地球温暖化防止と廃棄物の資源化及び処理・処分を目的として、地域に適したバイオマス利活用事業の計画策定から施設の設計・建設までのお手伝いをいたします。

また、生ごみの分別においては、分別収集する場合と機械選別する場合の両方式で、多数のモデル事業を実施しており、いずれの分別手法でも適正な対策を提案いたします。メタン発酵後の発酵残渣の有効利用、排水の処理方法についても、研究開発における実証実験や長年にわたる排水処理技術の蓄積により安全・安定で低コストな方式を提案いたします。

近5ヶ年の実績(平成30年10月1日現在)

受注年度 発注者 業務名称
平成25年(2013年) 神奈川県藤沢市 バイオガス化施設調査委託
平成26年(2014年) 神奈川県横浜市 生ごみバイオガス化検討委託
平成26~27年(2014~2015年) 環境省 廃棄物系バイオマス利活用導入促進事業委託業務
平成28年(2016年) 新潟県新潟市 生ごみのバイオガス化事業調査業務委託
平成28年(2016年) 埼玉県久喜市 生ごみ資源化検討業務委託