樋門改良によるエコロジカルネットワークの再生

1.エコロジカルネットワークとは

エコロジカルネットワーク(以下「エコネット」)とは、分断された生物種の生息・生育空間を相互に連結することによって、劣化した生態系の回復を図り、生物多様性の保全を図ろうとする構想です。ナマズやフナ類など、産卵のために川から堤内の水辺(水路、水田、ため池等)に向かう生物の生存には、水辺のネットワーク再生が急務です。

日水コンは、河川と堤内地の水辺をつなぐ樋門・樋管を改良して川表と川裏の連続性を確保し、生物多様性のある多自然水辺空間を創出することを提案します。

身近な水域のイメージ

身近な水域のイメージ
(元図『身近な水域における魚類等の生息環境改善のための事業連携方策の手引き』 身近な水域における魚類等の生息環境改善のための事業連携方策調査委員会 より)

水辺の動物の生活史に応じた生息範囲

水辺の動物の生活史に応じた生息範囲
(元図『環境との調和に配慮した事業実施のための調査計画・設計の技術指針(案)』農林水産省 より)

1‐1.連続性の回復とエコネットの拠点創出

堤外水路に落差のある樋門樋管は、緩勾配の階段状に改良することで魚道機能をもたせ、堤内と堤外の連続性を確保します。また、堤外水路は多自然水路に改修して生物等の生息生育環境を整備し、エコネットの拠点を創出します。

樋門改良による連続性確保

樋門改良による連続性確保

1‐2.樋門樋管の改良によるエコロジカルネットワークの再生

樋門樋管の落差や堤外水路を改修することによってエコネットの再生を図ります。

  • 樋門の落差解消による連続性の確保
  • 湿性環境の形成による多様な生息環境
  • 堤外水路の多自然水路化による自浄作用向上
  • 堤外水路護岸の緩傾斜化による親水機能向上
  • 維持管理における住民連携、環境学習

堤外水路の改修により期待する効果

堤外水路の改修により期待する効果

樋門・樋管改良による自然再生事業の概要

樋門・樋管改良による自然再生事業の概要

2.業務実績

近5ヶ年の実績(平成30年10月1日現在)

受注年度 発注者 業務名称
平成25年(2013年) 関東地方整備局常陸河川国道事務所 H25久慈川・那珂川河川環境検討業務
平成26年(2014年) 九州地方整備局遠賀川河川事務所 平成26年遠賀川水系エコロジカルネットワーク再生整備検討業務
平成26年(2014年) 阪神北県民局宝塚土木事務所 青野ダム青野ダム多自然型魚道管理運営推進業務委託
平成27年(2015年) 九州地方整備局遠賀川河川事務所 平成27年度遠賀川水系環境整備事業評価検討業務
平成27年(2015年) 高知県中央西土木事務所 上八川川河川環境調査委託業務
平成29年(2017年) 九州地方整備局遠賀川河川事務所 平成29年度遠賀川水系環境整備事業評価検討業務
平成30年(2018年) 東海農政局木曽川水系土地改良調査管理事務所 矢作川沿岸地区乙川頭首工魚道遡上調査業務