水道の経営戦略

1.経営戦略とは

経営戦略は、「水道ビジョン」と「事業計画」をつなぎ合わせる役割を意味し、財政的な裏付けのもとで将来にわたって安定期的に事業を継続していくための中長期的な経営の基本計画となります。「水道ビジョン」は、将来の理想像を実現するための道筋を示し、「事業計画」(中期または短期)は、施設整備計画や管路更新計画、耐震化事業などの個別事業の計画を意味します。

水道の経営戦略とは

1-1.経営戦略の策定期間

総務省では、「経済・財政再生計画」の「集中改革期間」である平成28年度から平成30年度までの間、集中的に経営戦略の策定を推進し、平成32年度までに策定率100%を目指しています。「平成29年度の地方公営企業繰出金について(通知)」(平成29年4月3日付け総財公第41号)では、上水道の高料金対策に要する経費での繰出しの基準において、経営戦略の策定が必要となりました。

※ 上水道の高料金対策に要する経費 抜粋
(2)繰出しの基準
ア 繰出しの対象となる上水道事業は、末端給水事業のうち前々年度における当該事業の有収水量1㎥当たりの資本費及び給水原価がそれぞれ次の要件を満たすもので、「経営戦略ガイドライン改訂版について」(平成29年3月31日付け総財公第39号、総財営第41号、総財準第49号)に定める「「経営戦略」策定の定義」を満たす経営戦略(以下「経営戦略」という。)を策定し、経営健全化のために十分な努力をしていると認められる事業とする。
①資本費  144円/m3以上
②給水原価 251円/m3以上

出典:総務省「平成29年度の地方公営企業繰出金について(通知)」(平成29年4月3日付け総財公第41号)

1-2.経営戦略策定ガイドライン改訂版

経営戦略策定ガイドライン改訂版(総務省)では、留意事項通知及びガイドラインに示した各事項の趣旨を十分踏まえた上で策定することが必要であり、具体的には、次に掲げる事項を全て満たすこととしています。

経営戦略策定ガイドライン改訂版(総務省)
「経営戦略」策定の定義
  1. 企業(事業)及び地域の現状と、これらの将来見通しを踏まえたものであること
  2. 計画期間が10年以上となっていること(やむを得ず10年未満とする場合、理由について住民・議会に説明されていること)
  3. 計画期間内に収支均衡していること(収支均衡していない場合で、収支ギャップの解消に向けた取組の方向性や検討体制・スケジュールが記載されていること)
  4. 効率化・経営健全化のための取組方針が示されていること
  5. 進捗管理(モニタリング)や見直し(ローリング)等の経営戦略の事後検証、更新等に関する考え方が記載されていること
  6. 住民・議会に公開されていること

出典:総務省 経営戦略策定ガイドライン改訂版

経営戦略策定の推進を図るため、総務省では、経営戦略の策定に要する経費に対する特別交付税措置(平成28年度~30年度)を創設しています。

経営戦略の策定に要する経費に対する特別交付税措置
対象経費
  • 先進団体視察、専門家の招へい等に要する経費
  • 「投資・財政計画」の策定に要する経費(「投資試算」「財政試算」のシミュレーション、収支ギャップ解消策の検討等)
  • 水道広域化の調査・検討に要する経費
地方交付税措置の内容
  • 対象経費の1/2について一般会計から繰出(上限額1,000万円(事業費ベース・複数年度通算))
  • 一般会計繰出額の1/2について特別交付税措置
  • 水道広域化の調査・検討に要する経費については、上限値を上乗せ(+1,500万円)し、重点的に支援

出典:総務省

1-3.経営戦略の投資・財政計画

1)投資試算の検討

施設・設備の合理的な投資の見通しであり、計画期間における必要な投資額を試算します。

2)財源試算の検討

投資試算を踏まえて、必要な財源(料金、企業債、内部留保資金、一般会計繰出金など)についての適切な水準・構成を検討します。

3)収支ギャップの解消

投資と財源が収支均衡した「投資・財政計画」となるように、投資試算と財源試算の検討をします。収支を均衡するために、料金水準の大幅な引き上げがないように、将来世代への負担を負わせるような起債や投資の先送りがないように、安定的に事業を継続していくための収支ギャップの解消に向けた検討をします。

総務省「公営企業の経営戦略の策定推進について」

出典:総務省「公営企業の「経営戦略」の策定推進について」

2.日水コンによる経営戦略策定の支援

1)アセットマネジメントを考慮した収支ギャップの解消

中長期的な投資・財源試算をすることで、将来負担の公平性を確保した投資・財政計画を策定することが可能となります。

2)広域化、官民連携などの活用

日水コンでは広域化や官民連携の支援の実績が多数あり、経験を踏まえた技術的な支援が可能です。

3)経営戦略を包括した水道事業ビジョンの策定

経営戦略における留意事項通知及びガイドラインで示した各事項の趣旨を踏まえた上で策定された水道事業ビジョンであれば、経営戦略として取り扱うことができます。水道事業ビジョンの策定とあわせて経営戦略を策定する支援も可能です。

4)下水道の経営戦略策定の支援

日水コンは水の総合コンサルタントであり、上水道のみならず、下水道の経営戦略の策定の支援が可能です。

3.業務実績

近5ヶ年の実績(平成30年10月1日現在)

受注年度 発注者 業務内容
平成27年(2015年) 岩手県矢巾町 矢巾町水道事業経営戦略策定及び検討会運営支援業務委託
平成28年(2016年) 埼玉県秩父広域市町村圏組合 経営戦略策定業務委託
平成29年(2017年) 北海道東神楽町 水道事業経営戦略策定業務
平成29年(2017年) 岐阜県美濃加茂市 水道事業経営戦略策定業務
平成29年(2017年) 大阪府太子町 水道ビジョン・経営戦略策定業務委託
平成29年(2017年) 長崎県東彼杵町 水道事業経営戦略策定業務委託