小島名誉顧問を偲んで

2012年、弊社名誉顧問の小島貞男博士が95歳で天寿を全うされました。あらためて生前のご厚誼に深謝致しますとともに、今は亡き名誉顧問の生前の業績の一端をご紹介いたしたく、名誉顧問が積極的に取り組まれた水質浄化技術に関し、ご自身自らが開発された技術やその原理についてお話された映像『うるわしき水辺を求めて』を再編集いたしましたので、ここに掲載する次第です。

お話の内容は、昭和50年代頃の河川水質悪化に伴う水質改善対策として、名誉顧問が考案された河川内の自然浄化作用を利用したハニカム浄化手法や、礫間接触酸化法等につき図表を用いながら判り易く解説されたものです。また、湖沼の富栄養化現象に伴う水質改善対策として、名誉顧問が東京都水道局勤務時代の若い頃より取り組まれていた湖沼内のプランクトンコントロールの研究成果を活用した人工循環法(空気揚水筒)、さらに湖沼浄化対策として自然生態系を利用した植生浄化手法についても触れられています。

これらの水質浄化技術に共通している点は、名誉顧問が常に現場重視の姿勢を保ちつつ、特別なエネルギーや資源を極力使用しない技術であることです。これら技術は、全国各地で実績が数多くあり、今振り返ってみても技術的には全く色あせておりません。今の時代が要請している、省資源・省エネルギーを先取りした環境保全技術であり、現在でも充分に活用できるものと考えております。

是非この映像をご覧頂き、公共用水域の水質保全施策や水道水源水質改善施策を考える際の参考としていただければ幸いです。

(株)日水コン 代表取締役社長
野村 喜一

出演映像『うるわしき水辺を求めて』

小島名誉顧問経歴

大正 5年 熊谷市〔当時の久下(くげ)村〕生まれ
昭和14年 東京高等師範学校〔現 筑波大〕理科第三部博物科卒
昭和16年 都立千歳中学校教諭
昭和21年 国立公衆衛生院勤務
昭和23年 東京都水道局勤務、長沢浄水場長、玉川浄水管理事務所水質課長
昭和45年 玉川浄水管理事務所長
昭和47年 (株)日本水道コンサルタント取締役・中央研究所長以降、常務取締役、専務取締役を歴任
昭和62年 (株)日水コン顧問/中央研究所長
平成 9年 同 技術顧問
平成20年 同 名誉顧問
平成24年 ご逝去(3/31)

大学での講師

北海道大学(昭和42~51年)、東京工業大学、信州大学、熊本大学で非常勤講師を歴任

資格

昭和35年  技術士試験合格
昭和36年 「浄水作業を対象とした貯水池PlanktonのControl」 で東大より農学博士の学位取得

浄水技術開発等

野川の礫間浄化施設、生物酸化処理(ハニーカム方式)、間欠式空気揚水筒、鉄バクテリアによる水処理、シャロクリーン及び長毛濾過の開発、PAC、傾斜板沈殿池、マイクロストレーナー等の実用化・普及、選択取水導入に貢献

公職等

技術士試験委員、国(厚生省生活環境審議会、おいしい水研究会等)や県・市の審議会委員 など多数

学会・団体活動

日本水処理生物学会(会長)、日本陸水学会及び日本水環境学会(名誉会員)、日本水道協会の水質関連委員会委員長

受賞

昭和24年 日本水道協会有効賞 「貯水池の湖沼学的研究」
昭和42年 日本水処理連盟“水”賞
昭和47年 日本工業用水協会有効賞 受賞
昭和48年 厚生大臣賞
平成19年 日本河川協会“日本水大賞” 審査部会特別賞受賞 など多数

海外歴

中国、韓国、東南アジア、アフリカ、中南米等10数カ国で技術指導等、欧米での国際会議参加・視察

主な著書等

小島貞男さんの水質人生「水質は水道の生命線ですね」

著 書

  • 「水処理のための生物試験の手引き」 水発行所、昭和39年
  • 「新水質の常識(共著)」 日本水道新聞社、昭和52年
  • 「おいしい水の探求」 NHKブックス・NHK出版、昭和60年
  • 「水質は水道の生命線ですね」 日本水道新聞、平成9年
  • 「水処理管理便覧(編著)」丸善、平成10年 他