1995年1月17日未明に起った阪神淡路大地震は阪神大都市圏に未曾有の大被害をもたらしました。電気、ガス、水道、道路とともに、ライフラインとして100%近く普及していた下水道施設にもこれまでにない甚大な被害が生じ、これにより住民生活や都市活動に重大な影響を与えるものとなりましたが、 地震による被害調査およびその対応が行われた過程で、新たな経験と教訓を得ることとなりました。そこで、これらの教訓を反映させ、地震に強い下水道計画を目指し、新しく改訂版が発行されました。
更に2004年10月23日夕刻に発生した新潟県中越地震では今まであまり経験のない継続的余震により、10万人以上の人たちが長期にわたる避難生活を余儀なくされました。そして、中越地震では高齢化が進む過疎地域での課題、すなわち救助活動や災害復旧、避難生活援助等における迅速かつ効果的な対応の在り方が浮き彫りになりました。特に、高齢者や病弱な人、小児、妊婦等の弱者救済の視点に立った対応が不十分でした。

地震対策においては、個々の施設の耐震化を図ることが第一とされますが、計画面等における対応も重要とされています。 すなわち、組織体制、情報管理、点検・復旧手段、地震に強いインフラ施設計画のあり方等のいわゆるソフト面での対策についての検討が求められています。前述の 「マニュアル」においては、主としてこれらのソフト面での対策についてとりまとめられていますが、全国を対象として作成されていることから、「マニュアル」に示されている検討項目を適宜取捨選択し、各地方公共団体の実情に応じた「地震対応マニュアル」を策定することが必要です。対応には事前対応と緊急対応が考えられます。事前対応は、仮設トイレの仕様や保管及び配置計画、図面等の基本データの管理体制と危機管理、し尿の受入れ方法等です。そして、場合によってはバリアフリーを考慮することも必要です。緊急対応では、夜間の照明、冬季の寒さ対策、夏季の防虫対策、避難所対策等を検討する必要があります。
