地下水の水質を改善したい

地下水活用のメリット

地下水の水量は涵養条件などに影響されるものの、ダム水や河川水などの表流水に比べ安定しています。 また、その水質は、地質特性や取水量などに影響されますが、一般に安定しており、人為汚染を受ける危険性は表流水に比べて少ないものになっています。 このような特性を有する地下水を活用できれば、次のようなメリットが期待されます。

  • 事業活動の安定化や付加価値向上
    • 地下水の導入または利用用途拡大による事業活動の安定化
    • 地下水を用いた生産活動による製品の付加価値向上(ブランド化)
  • 渇水・災害時等の補助的水源
  • 開発途上国の衛生環境改善 など

地下水利用における水質課題

平野部や丘陵の洪積層に位置する一般的な地下水を業務用水や生活用水に利用する場合に、障害となる主な水質項目とその影響は次のとおりです。

  • 鉄・マンガン→水の外観悪化(赤水、黒水、油膜状皮膜)、衣類や容器などの着色、味(金気)等
  • アンモニア性窒素→消毒効果の低下や塩素消費による鉄・マンガン処理効果の低下等
赤水(写真)

赤水

洗濯物の黄ばみ(写真)

洗濯物の黄ばみ

油膜状の皮膜(写真)

油膜状の皮膜

処理対策の選択肢

鉄バクテリアの一例

鉄バクテリアの一例

前記のような障害を防止するために鉄・マンガンやアンモニアを地下水の中から除去する方法には次のように種々のものがあります。

  • 化学処理:塩素酸化+凝集沈澱、接触酸化法、膜ろ過法など
  • 生物処理:緩速ろ過法、生物接触酸化法など

現在、我が国の浄水場では、多くが化学処理で鉄・マンガン、アンモニアへの対策が行われてきましたが、近年では地下水中に存在する鉄バクテリアなどの微生物(=自然の力)を活かした生物処理も、コスト抑制や地球温暖化対策の観点から注目されています。

生物処理と化学処理

生物処理と化学処理の概要比較を行なうと下図のとおりです。生物処理は原水中に処理に適した微生物(鉄バクテリア等)が存在することが前提条件となり、処理機能が発揮されるまでに一定の「馴らし期間」が必要ですが、これらの条件を満たせば、化学処理に不可欠な酸化剤などの薬品費用などがかからず、ランニングコストが軽減できるメリットが期待できます。

生物処理と化学処理(図解)

最適解の選択

どのような処理対策が最適解となるかは、地下水水質、地下水中の生物相、水量規模、施設設置に利用できる用地面積、必要な処理水質などにより変化します。

弊社は、我が国では比較的少ない生物処理を含め、前記の全ての処理方式に関する数多くの調査や設計の実績を有しており、お客様のニーズに即した最適技術の提供が可能です。

地下水処理に関する業務実績(一部)

水道事業体 業務名 処理方式 年度
三重県四日市市朝明水源地浄水処理施設設計業務委託化学処理平成17
島根県斐川宍道水道企業団上水道認可変更設計業務委託化学処理平成20
熊本県大牟田市清里・延命間送水計画実施設計業務委託化学処理平成22
京都府城陽市鉄バクテリアろ過池等新設工事設計業務委託生物処理平成3
奈良県大和郡山市北郡山浄水場生物接触濾過施設実施設計業務委託生物処理(前処理)平成7
大阪府交野市新浄水場設計委託業務生物処理(前処理)平成16

生物処理=検証された技術

微生物の力を活かした鉄・マンガン処理は、1950年代から使われてきた「確実性のあるローテク」です。厳しいコスト縮減が求められるなか、今後は選択肢の一つとする価値があるものと考えられます。

民間企業への技術支援実績

弊社では水道事業で培った技術を基に民間企業への技術支援も展開しつつあります。

事例Aは、洗びんなどの雑用に用いられていた太田酒造様の地下水の水質を既設ろ過機の運用工夫で改善した事例です。ここでは生物処理機能を促進することで鉄やマンガンを低下させることが出来ました。

事例Bは、業務用タオル等の洗濯に地下水を用いていた京滋リネンサプライ様の地下水処理向上において、どのような投資が費用効果に優れているかを検討した際の概念図です。ここでは、黄ばみが進んで廃棄するまでのタオルの寿命を水質改善で延長する効果と、処理改善費用などを比較し、化学処理改善に向けて薬品注入率変更をご提案しました。

  

<事例A>

事例A:太田酒造様

<事例B>

事例B:京滋リネンサプライ様

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