ダム再開発事業に向けた水環境検討事項の御提案
再開発事業に向けた環境影響検討の必要性について
ダム再開発事業は、堤体の改造や、運用方法の変更などを行うもので、平成11年6月から全面施行された環境影響評価法における規模要件には該当しない場合がほとんどですが、事業規模が大きく、かつ事業期間が長期に及ぶことなどから、環境影響評価法の検討手法に準じた検討が重要と判断されます。
これらの検討に先立ち、予め「現時点の環境がどのような状況か」、また、再開発事業により「どのような環境項目」について、「どのような影響が起こりそうか」把握しておくことが検討をスムーズに進める上で重要となります。
再開発事業に向けた調査の実施方針
再開発事業に伴い想定される環境影響項目の整理
環境影響を評価する上で、再開発事業に伴い環境影響を受ける可能性がある項目を予め整理し、環境項目の何に重点を置いて調査を実施していけばよいか把握しておくことが重要です。
このため、次の方法により環境影響項目を整理していきます。
(1)インパクト・レスポンスフローの検討項目を抽出する方法として、再開発事業によるインパクトと、それに対する環境へのレスポンスのフローを整理することで、影響を受ける項目が見えやすくなります。
再開発事業の内容に応じて、工事期間中、供用開始初期(非定常状態)、及び供用後(定常状態)のそれぞれについてインパクト・レスポンスフローを整理し、環境影響項目をピックアップします。
再開発に伴う貯水池運用方法の変更に関するインパクト・レスポンスフローのイメージ
再開発事業に伴うインパクト・レスポンスフローによりピックアップされた環境影響項目、環境変化に注目し、既往調査資料から、環境変化が悪化傾向か、改善傾向かを定性的に把握し、環境影響を評価すべき項目であるか可能な範囲で見極めます。
【検討事項の例】| ◆ | 再開発後の上流部堆積泥の巻き上げ可能性 | ⇒ | 水位低下時の上流部巻き上げ状況の整理。 堆積物の粒径分布整理。 |
| ◆ | 洪水期の有害物質など巻き上げ可能性 | ⇒ | 上流部底質中の重金属、硫化物の堆積状況の整理。 |
| ◆ | 貯留時期の濁水長期化助長の可能性 | ⇒ | 水位上昇期の濁水長期化現象の整理。 |
| ◆ | 放流口低下に伴う重金属放流の可能性 | ⇒ | DO低下時の重金属の溶出状況の整理。 |
| ◆ | 貯留時期の植プラ増加の可能性 | ⇒ | 滞留時間と植プラの増殖状況の関連性の整理。 |
| ◆ | 植プラ増加・種の変化の可能性 | ⇒ | 回転率・水温と植物プランクトンの関連性の整理。 |
再開発事業に向けたモニタリング計画の検討
(1)環境影響評価に向けて調査すべき項目の抽出環境影響評価を行う上で、評価すべき環境影響項目に関する影響の予測手法を整理する。シミュレーションモデルを抽出し、モデルの入力条件となる「境界条件」、「検証データ」について既往調査資料から存在状況を整理し、今後調査すべき項目を抽出します。
再開発に伴う水質の変化を見据えた「水質の現状」について不足する調査項目を抽出します。
(2)再開発事業に向けたモニタリング計画の立案再開発事業に向け、今後調査すべき項目について「調査目的」、「調査実施地点」、「調査実施項目」、「調査実施時期」、「調査実施頻度」、「調査実施項目」などに関してモニタリング計画を立案します。
調査項目の例| ◆ | 栄養塩・重金属挙動関連調査 |
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| ◆ | 濁質の巻き上げ関連調査 |
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| ◆ | 放流水の水質現状 |
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再開発事業の評価のための予測手法
水位低下に伴う堆積土砂の巻き上げを想定した貯水池の水質予測手法
水位低下に伴う堆積土砂の巻き上げ計算例
再開発事業において貯水池水位を既往の運用よりも低下させる場合、上流部に堆積した浮泥の他、長年の堆積土砂も巻き上がることで、濁水長期化や有機物・重金属の巻き上げ現象が発生する場合があります。 このため、水位低下に伴う『土砂動態解析』と『貯水池水質解析』を組み合わせた手法により、堆積土砂の巻き上げに伴う水質影響の評価を実施します。
日水コンの関連業務実績
| 発 注 者 | 業 務 名 称 | 年 度 |
|---|---|---|
| 九州地方整備局 川内川河川事務所 | 鶴田ダム再開発濁水調査業務 | 平成19年度 |
| 九州地方整備局 川内川河川事務所 | 鶴田ダム再開発水環境調査業務 | 平成19〜22年度 |
| (財)ダム水源地環境整備センター | 鶴田ダム再開発影響検討資料整理業務 | 平成19〜22年度 |
| 近畿地方整備局 琵琶湖河川事務所 | 天ヶ瀬ダム再開発計画環境調査(その2)業務 | 平成14〜15年度 |
| (財)ダム水源地環境整備センター | 新丸山ダム環境検討資料整理業務 | 平成16年度 |

