洪水ハザードマップの作成と公表について
〜水害から市民を守るためのソフト対策〜
洪水に対するソフト対策の必要性
平成16年度に全国各地で発生した一連の豪雨災害は、全国各地で大きな被害をもたらしました。新潟県五十嵐川・刈谷田川では堤防決壊により死傷者が発生し、香川県前田川では公民館に濁流が押し寄せたことにより自主避難していた住民が犠牲となるなど、多くの人的被害が生じました。
これらの人的被害は、住民が洪水の情報を正しく認識し、適切な避難行動をとることができれば、回避できたかもしれません。
行政は、河川を改修し洪水を安全に流下するよう努めていますが、目標とする治水安全度まで達するには時間がかかります。また、一方で近年は集中豪雨が頻発しており、想定外の豪雨が発生する場合もあります。
このような、現時点のハード対策では対応不能な洪水が発生した場合に、住民の生命を守るためには、住民の方々に洪水に対する正しい知識を持っていただき、洪水発生の恐れが有る場合に迅速な避難ができるように、洪水予報等の伝達方法や避難所などの情報を周知しておく必要があります。
洪水ハザードマップは、これらの情報を網羅したものであり、洪水に対するソフト対策の要となるものです。
水防法の改正について
平成16年度に全国各地で発生した一連の豪雨災害で明らかとなった課題を踏まえて、地域の水害防止力の向上を図るため水防法の一部を改正することなり、平成17年7月1日に施行されました。
同法改正において、浸水想定区域図の指定対象河川がこれまでの洪水予報河川から主要な中小河川まで拡大されました。また、浸水想定区域をその区域に含む市町村の長は、避難場所、浸水想定区域、洪水予報の伝達方法などの事項を住民に周知させるために洪水ハザードマップなど必要な措置を講じることとなりました。
同法の改正により、洪水ハザードマップの策定対象市町村は1800市町村ほどに拡大される見込みですが、現段階でハザードマップ策定済みの市町村は375市町村であり(H17.03.31現在)、ハザードマップの作成と周知が急がれています。
洪水ハザードマップの内容
洪水ハザードマップの目的
「洪水ハザードマップ」とは、破堤、はん濫等の浸水情報および避難に関する情報を住民にわかりやすく提供することにより、人的被害を防ぐことを主な目的として作成されるものです。
ハザードマップの作成主体
「洪水ハザードマップ」は、市町村長が作成主体です。
洪水ハザードマップの記載内容
洪水ハザードマップに記載する内容は、「洪水ハザードマップ策定の手引き」においてガイドラインが示されており、記載項目は全ての洪水ハザードマップに原則として記載することが必要な共通項目と、地域の状況に応じて記載するかどうか判断すべき地域項目に分けられます。
<共通項目>- 浸水想定区域図と被害の形態
- 避難場所
- 避難時危険箇所
- 洪水予報等、避難情報の伝達方法
- 気象情報等のありか
- 避難時の心得や避難勧告等に関する事項などの「避難活用情報」
- 水害の発生メカニズムや既往洪水の情報などの「災害学習情報」
洪水ハザードマップの周知
洪水時に住民の円滑かつ迅速な避難行動を可能とするためには、洪水ハザードマップの住民への周知と、理解を深めるための継続的な取り組みが重要です。
「洪水ハザードマップ策定の手引き」では、以下を洪水ハザードマップ普及の3つの柱と位置づけています。
- 洪水ハザードマップの各世帯への確実な配布
- 住民が洪水ハザードマップの提供を受けることのできる状態の確立
- 住民の洪水ハザードマップの理解を深める取り組み
日水コンからの御提案
市町村の特性を踏まえた洪水ハザードマップの作成
洪水による被害の発生状況は、地域特性により大きく異なります。貯留型の氾濫では、その湛水深が重要となり、拡散型の氾濫では、浸水の広がる速度や流速が重要になります。また、急傾斜地が多い地域では、土砂災害に関する情報が重要となり、沿岸域の市町村では高潮に関する情報も重要になります。日水コンでは、各市町村の水害特性を踏まえて、住民にとって必要な情報を的確に伝える洪水ハザードマップを作成します。
既定の避難計画の評価と適切な避難場所等の提案
避難所については地域防災計画において設定されていますが、洪水発生時の安全性(水没しないか)、ルート確保(避難ルート、孤立化しないか)については十分に評価されていない場合があります。日水コンでは、洪水ハザードマップの作成とあわせて、既存の防災計画の評価をおこない、適切な避難場所・避難ルートの提案も行います。
地域住民の意見を取り入れた洪水ハザードマップの作成
地域の住民にとってわかりやすい洪水ハザードマップを作成し、地域に浸透させるためには、洪水ハザードマップの作成段階から、地域住民の意見を取り入れていくことが有効です。日水コンでは、洪水ハザードマップを作成するにあたって、検討委員会の開催やホームページによる意見収集など地域住民の意見を取り入れる仕組みを提案・検討します。
効果的な洪水ハザードマップの周知
作成した洪水ハザードマップは、住民の方々に周知し理解していただいて、初めて有効なものとなります。 日水コンでは、地域住民に洪水ハザードマップが浸透するように、各戸配布、インターネットでの公開、掲示板、広報誌など様々な周知方法について提案・検討します。
継続的な啓発活動の支援
洪水ハザードマップの周知は一時的なものではなく、地域住民の防災意識が薄れることがないように、継続的に啓蒙していく必要があります。
日水コンでは、洪水ハザードマップの説明会の開催、防災訓練での活用、学校教育での活用など継続的な啓発活動の支援も行います。
検討フローの例

関連情報
日水コンでは、以下の提案もしております。
総合浸水ハザードマップの必要性について
河川氾濫(外水)のみでなく、下水道等における内水も考慮した総合的な浸水ハザードマップの作成を提案しています。
浸水対策
都市浸水対策として、下水道管渠・雨水ポンプ等の整備のみでなく、浸透施設や貯留施設も組み合わせた浸水対策を提案しています。
日水コンの関連業務実績
- ● 平成22年度 安佐北区亀山小学校区土砂災害ハザードマップ作成業務(安佐北区役所)
- ● 平成20・21年度 富山市洪水ハザードマップ策定業務委託(富山市)
- ● 平成8年度 江戸川流水保全水路検討業務(関東地方整備局江戸川河川事務所)

