クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原微生物対策
中・小規模膜処理及び紫外線処理設備について
安全な給水を安定して行うために
1994年以降、顕在化した「クリプトスポリジウム等」の耐塩素性病原微生物による汚染問題は、水道水質管理上の重要課題となっています。
平成8年10月、「水道におけるクリプトスポリジウム暫定対策指針」が策定され、また、平成12年に制定された水道施設の技術的基準を定める省令(平成12年厚生省令第15号)において、「原水に耐塩素性病原微生物が混入するおそれがある場合にはろ過等の設備を設けること」となっています。
また、平成19年度からは、「水道施設の技術的基準を定める省令」の一部改正よって、原水条件にもよりますが、ろ過設備の他に「紫外線処理設備を設けること」が認められました。これと相まって「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針 (案)」がとりまとめられました。
暫定対策指針策定から10年経過した時点において、クリプトスポリジウム等に関する対策が必要とされる浄水施設の数は、6,110施設(平成18年3月現在)ありますが、対策済の施設数は、3,403施設に止まっています。
特に、従来塩素消毒だけで給水している中小規模の事業にとって、経験の無いろ過設備や紫外線処理設備等を選定する際に多くの解決すべき課題があるからと考えられます。
膜ろ過と言っても、数多くの種類の中から原水に適した膜をどのように選定したら良いか、紫外線の照射方法など技術的な課題と共に、膜や紫外線ランプの洗浄や更新、その他の維持管理費用を算定し料金への影響は、などの経済的な課題がありますので、多くの経験に基づいた評価や判断が必要になってきます。
膜ろ過法とは
1.膜の種類
精密ろ過膜(MF)、限外ろ過膜(UF)、ナノろ過膜(NF)があります。
2.膜及び膜モジュール
| 収納方式 | 膜の種類 | 通水方式 |
|---|---|---|
| ケーシング収納方式 | 中空糸膜型 | 外圧型 |
| 平膜型 | ||
| 管型 | ||
| 槽浸漬方式 | 内圧型 | |
| モノリス型 | ||
| スパイラル型 |
3.ろ過法
全量ろ過方式とクロスフローろ過方式の2種類があり、定流量制御方式と定圧制御方式の運転方法があります。
4.膜洗浄法
逆圧洗浄方式、空気洗浄方式、空気圧洗浄方式及びフラッシング洗浄があります。
紫外線処理とは
1.紫外線処理
紫外線処理は、紫外線照射により原水中のクリプトスポリジウム等 (耐塩素性病原生物) を不活化し、安全性を確保するものです。
紫外線処理においては、下記の条件が必要となります。
- 地表水を原水としないこと
- 濁度、色度その他の水質が紫外線処理に支障がないものであること
- 不活化できる紫外線処理設備が設けられていること
2.紫外線処理の要件
紫外線処理設備の具体的な要件は、次のとおりです。
- 紫外線照射槽:必要な時間、水が紫外線に照射される構造
- 紫外線照射装置
- 所要の槽内の紫外線強度分布を得るような紫外線を照射する構造
- 紫外線を常時安定して照射するための措置
- 紫外線強度を監視する設備
- 水の濁度及び水量を監視する設備。ただし、濁度が支障を及ぼさないことが明らかな場合はなくてもよい。
- 槽内に紫外線ランプを設ける場合
- 紫外線ランプの破損を防止する措置
- 紫外線ランプの状態を監視する設備
計画・設計に必要なものは
浄水施設の中で、膜ろ過設備や紫外線処理設備を含む浄水施設全体のバランスを考慮した検討が必要となります。上記の検討・選定にあわせて、前処理の必要性、ユニット数及び設備能力、排水処理方法、洗浄方式等の検討や、膜や紫外線ランプの損傷対策や設備の収容方式(屋外・屋内)など多くの検討が必要です。
これらの検討結果が適正で合理的なものとするためには、原水水質の他に、設置する場所の環境や立地等についても十分な検討が必要です。 このような作業には、総合的な技術と経験が必要です。土木・機械・電気のほか水質に関する能力が要求されます。 なお、日水コンは、水道法第20条における厚生労働省の登録水質検査機関(登録番号第115号)になっています。
水道原水に係るクリプトスポリジウム等による汚染の恐れの判断の流れ
主な業務実績
- ● イタリー水源膜ろ過施設実施設計(2003) 神奈川県企業庁
- ● 多摩地区小規模浄水所水処理実験調査(2003) 東京都
- ● 膜処理実験データ解析(2004) 福岡市
- ● 水土野水源浄水処理施設基本設計業務委託(2007)神奈川県
- ● 西部地区簡水改修実施設計業務委託(2007)鹿沼市
- ● 紫外線処理施設詳細設計業務委託(2008) 岐阜市

