液状化の模式図
地盤の変形予測
1.地盤の液状化現象とは
地盤の液状化現象とは、水で飽和状態となっている緩い砂質土地盤に起こる現象です。 普段は砂粒子がかみ合って安定していますが、地震による繰り返しせん断力が作用すると、かみ合わせが完全に外れ、砂粒子が浮遊した泥水状態となります。 これを液状化現象といいます。
2.液状化によって構造物が受ける影響
液状化した土は剛性、強度が大きく低下して流体的な振る舞いをするため、 重い構造物は沈み、軽い構造物は浮き、液状化した土自身も震動や重力によって大きく変形する、という現象が起こります。
- 直接基礎構造物あるいは盛土の沈下
- 杭基礎形式の構造物の杭の破損
- 地中構造物の浮き上がり、破損
- 過剰間隙水圧消散による圧密沈下
- 液状化に伴う地盤流動(側方流動)
地盤(圧密)沈下
マンホールの浮き上がり
2011.3.11
東北地方太平洋沖地震による液状化の被害状況
(千葉県浦安市)
3.FEM解析による地盤の変形予測
大規模地震動による液状化現象だけに限らず、建設工事(載荷、除荷、掘削)などによっても地盤は変形し、破壊に至ることがあります。 このときの変形形態は地盤の種類・構成や応力状態、作用する外力によって大きく異なります。FEMによる地盤の変形解析を行えば、地盤の特性に応じた変形量を精度よく求められ、周辺地盤や構造物への影響も定量的に予測することが可能です。
日水コンが保有しているFEM解析ソフトのうち地盤の変形予測が可能なソフトは下表の通りです。解析の用途に応じた解析ソフトを用いて詳細な解析を実施し、対策工法を含めた合理的、経済的な設計を行います。
保有ソフト | 解析区分 | 解析の主な用途 | ||
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TDAP III (JIPテクノサイエンス(株)) |
3次元 | 静的 動的 |
線形 非線形 |
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FEAST (JIPテクノサイエンス(株)) |
3次元 | 静的 | 線形 非線形 |
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FLIP ((財)沿岸技術研究センター) |
2次元 | 動的 | 非線形 |
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WCOMD ((株)フォーラムエイト) |
2次元 | 動的 | 非線形 |
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SHAKE (LIQUEUR) (富士通(株)) |
1次元 | 動的 | 等価線形 |
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4.業務実績
地震時液状化による被害予測
FLIPは地震時液状化による地盤や構造物の被害予測をすることが可能です。地盤内の間隙水の水圧変動を考慮して対象地盤の地震時の応答を求めることができる有効応力解析ソフトです。下図は、下水処理場が護岸背面にあることから、下水道施設の重要性を考慮し、地震時液状化による側方流動の影響検討を行った設計事例です。
矢板護岸の地震時側方流動解析例
(FLIP-動的非線形解析)
建設工事に伴う地盤への影響検討
下水処理場の敷地境界近辺における施設建設工事であるため、FEASTで土留め掘削工による周辺地盤沈下の影響検討を行った事例です。
土留め掘削工による周辺地盤沈下解析
(FEAST-静的非線形解析)
近5ヶ年の実績(平成30年10月1日現在)
受注年度 | 発注者 | 業務名称 |
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平成25年(2013年) | 豊中市 | 平成25年度公共下水道事業庄内下水処理場水処理棟耐震補強実施設計業務委託 |
平成26年(2014年) | 札幌市 | 宮町浄水場耐震改修工事実施設計業務その2 |
平成26年(2014年) | 京都市 | 伏見水環境保全センター耐震診断委託(その2) |
平成27年(2015年) | 神戸市 | 玉津処理場汚水ポンプ室他耐震診断業務 |
平成28年(2016年) | 佐賀市 | 佐賀市公共下水道施設(ポンプ・ブロア棟、八田ポンプ場)耐震診断業務委託 |
平成28年(2016年) | 神戸市 | 東灘処理場耐震診断業務(土木) |
平成29年(2017年) | 佐賀市 | 佐賀市公共下水道施設(水処理施設1~6池、機械濃縮棟)耐震診断業務委託 |
平成29年(2017年) | 三重県南勢水道事務所 | 多気浄水場浄水施設耐震化検討業務委託(多気郡 多気町相可 地内) |