農業・農村における防災・減災とICTの活用

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1. 情報通信環境整備の推進

図1 情報通信環境整備のイメージ
図1 情報通信環境整備のイメージ
出典:農林水産省「農業農村における情報通信環境整備のガイドライン」

ICTを活用したインフラ管理の省力化やスマート農業の導入は、インフラの管理体制の脆弱化農業生産における労働力不足など、農村地域が抱える課題の解決に有効な手段として期待されています。また、農業・農村における防災・減災対策においてもICTを活用した危険の早期発見など、一層の強化が求められており、その基盤となる情報通信環境整備が進んでいます。
地域BWA(地域広帯域移動無線アクセスシステム)や特定小電力無線を用いたLPWA(Low Power, Wide Area)を活用した、用排水路、排水機場等の監視システムの構築は、農業・農村の持続的発展に向けて重要性が高まっています。

2. ため池の防災・減災対策

図2 ため池の防災・減災対策支援イメージ
図2 ため池の防災・減災対策支援イメージ
農林水産省「ため池の防災・減災対策に活用可能な補助事業」を加工して作成

  • 2018年7月豪雨により多くのため池が決壊したことにより、防災重点ため池の選定基準が見直されました。これにより、防災重点ため池は、従前の11,399箇所から54,610箇所(2021年7月末時点)が再選定されています。
  • ため池の防災・減災対策についてはICT機器の設置・運用に係る事業を含め、6事業14メニューで補助事業が設けられています(2022年4月農林水産省農村振興局)。当社においてもため池の防災・減災対策に取り組んでいます。

3. スマート農業を活かした浸水対策

図3 田んぼダム効果(新潟県三条市の例)
図3 田んぼダム効果(新潟県三条市の例)
出典:農林水産省「多面的機能支払交付金事例集」Webサイト

排水路の急激な水位上昇を防ぐために「田んぼダム」が利用されていますが、「田んぼダム」の効果は排水路だけでなく、農村地域の浸水対策としても効果を発揮し、浸水被害の軽減、排水機場の運転時間軽減の効果が確認されています(右図参照)。

一方、スマート農業として自動給水栓を活用した、ほ場水管理システムが導入されつつありますが、自動給水栓の整備により、安全で的確にほ場の水位を豪雨時に制御に治水効果が発揮できます。田んぼダムは、集中豪雨による浸水被害が頻発する近年、河川の治水対策と併せて実施することで流域治水効果を高めることができます(図3参照)。

【関連業務実績】

  • 洲本川水系洲本川淡路地域総合治水推進計画策定業務(兵庫県)
  • 農業水利制御システムに係る標準化実証調査検討業務(農林水産省)

4. 農業農村におけるICTの活用事例

図4 水田水管理システムの概要
図4 水田水管理システムの概要
農林水産省「農業農村における情報通信環境整備のガイドライン」を加工して作成

5. 業務実績

受注年度 発注者 業務名称
2021 北海道岩見沢市 岩見沢地区農業農村情報通信環境整備計画策定業務
2021 高知県 高知5期地区 地域ため池総合整備谷田No.1池他ため池耐震照査委託業務
2021 宮城県仙台市 令和3年度 仙台市防災重点ため池監視システム検討業務委託
2020 栃木県栃木市 栃木市ため池ハザードマップ作成業務委託
2020 福島県田村市 委第1-140号 震災対策農業水利施設整備事業
防災重点ため池ハザードマップ作成業務委託