砂防関係施設の長寿命化計画策定

防災対策の推進に伴い砂防関係施設のストックは増加する一方で、これまでに整備された膨大な施設は老朽化し、機能・性能を維持できなくなることが想定されます。このような背景から、長期的な展望をもって砂防関係施設の長寿命化を推進するため、 2014年に「砂防関係施設の長寿命化計画策定ガイドライン（案）」が策定され、2019年の改訂では、ライフサイクルコストの縮減を図るため、事後保全型から予防保全型の維持管理が導入されました。全国で長寿命化計画の見直しや予防保全型の維持管理対策が実施されています（図1）。

長寿命化計画の対策を進めるに際し、砂防施設の位置や周辺の条件により施工に関する種々の問題が生じています。

• 山間部に位置する昭和30～40年代の砂防堰堤であるため、工事用道路が流出し、車両でアクセスできない（図2）。
• 集水面積の大きい本川河道に位置するため、常流水が多く、半川締切を用いた大規模な仮設工となる。
• 下流に簡易水道や養魚場等の管理する取水施設が存在するため、工事中の濁水処理、利水補償等の特異な仮設工が必要となる。

日水コンは、地域特性に応じて長寿命化計画の「年次計画」から一段階精度・実現性を向上させた「実施計画」を作成します。

（1）制約条件の整理

• 施工上の制約条件となる用地､法規制、土地利用や水利用、アクセスを机上及び現地調査により確認（図3、表1）。

（2）実現可能な概略配置計画（仮設工を含む）

• 法規制、用地、アクセスより整備可能な工事用道路の線形計画を検討し、概略道路計画を検討。
• 土地利用、水利用状況に基づき、仮設工（施工ヤード、転流方法、その他工事中の補償対策）を検討し、概略配置計画を検討（図4）。

（3）事業費と工事期間の算出

• 仮設工を含む概略配置計画より工種数量を整理。
• 用地費等を含む全体工事費、数量より施工期間を検討。