雨天時下水活性汚泥法

1.雨天時下水活性汚泥法の原理

1-1.残り2Qshの対策

従来の雨天時下水処理

従来の雨天時下水処理

雨天時下水活性汚泥処理方法は合流式初期汚濁の改善のひとつとして、既存施設の活性汚泥処理を利用します。 従来の方法では晴天日時間最大汚水量(1Qsh)だけを二次処理し、残りの2Qshを沈殿放流していました。

雨天時下水活性汚泥処理法(大阪市の事例)

雨天時下水活性汚泥処理法(大阪市の事例)

本処理法では3Qshのうち1Qshを反応槽前段において従来通り処理し、今まで沈殿放流していた残りの2Qshを反応槽後段の1/4のところにステップ投入し処理することができます。

※Qsh: 時間最大汚水量、計画1日最大汚水量発生日におけるピーク時1時間汚水量の24時間換算値のこと

1-2.バイオソープション法の活用

可溶性有機物曲線

可溶性有機物曲線

下水中の有機物は、活性汚泥と接触後の短時間(30分程度)にその多くの有機物が除去されます(右図:活性汚泥の有機物除去)。 この現象は初期吸着と言われており、下水活性汚泥法の一変法であるバイオソープション法はこの吸着特性を有効に活用しています。 雨天時下水活性汚泥法もこの原理を利用し、雨天時初期の汚濁を削減します。

反応槽後段で吸着した有機物は、最終沈殿池で沈殿し、反応槽に返送され、そこで酸化、安定化します(下図:活性汚泥の吸着能の回復)。 反応槽の後段では、再び吸着力が回復するため、安定した処理を継続して行うことができます。

活性汚泥の吸着能の回復

活性汚泥の吸着能の回復

2.導入効果

雨天時下水活性汚泥法の処理水質は、ほぼ二次処理程度に低減することができます。大阪市の調査によると「簡易放流を行う従来の方式と比較してSSで59~91%(平均73%)、BODで27~78%(平均61%)の放流汚濁量が削減できた。」と報告されています。なお、分流式の雨天時不明水対策にもこの方法は有効です。

3.業務実績

近年の実績(2020年1月31日現在)

受注年度 発注者 業務名称
平成20年(2008年) 日本下水道事業団技術開発 平成20年度豊橋市雨天時活性汚泥法導入検討調査業務
平成21年(2009年) 都城市 中央終末処理場雨天時活性汚泥法導入検討業務委託
平成22年(2010年) 防府市 防府浄化センター雨天時活性汚泥法設計業務委託
平成23年(2011年) 静岡市 高松浄化センター雨天時活性汚泥法導入調査業務委託

他多数